弁護士は激務って本当?仕事内容や勤務時間などの働き方を紹介
この記事では、弁護士の仕事が激務だといわれている理由を解説します。
弁護士は個人が担当する案件が多いことや、複数の案件を同時に進める場合があることから、一般的に激務だといわれています。仕事を激務だと感じている場合、弁護士の働き方の特徴を踏まえたうえで、業務効率化によって激務を解消することが大切です。
この記事では、弁護士の主な仕事内容や勤務時間、休日など弁護士の働き方の特徴について詳しく解説します。おすすめの業務管理システムも合わせてお伝えするので、弁護士の業務効率化にお悩みの先生方は、ぜひ最後までお読みください。
- 弁護士が激務だといわれがちな理由
- 弁護士の働き方の特徴
- 弁護士事務所におすすめの業務管理システム
弁護士が激務だといわれがちな理由4選
弁護士は必ずしも激務だという訳ではありませんが、一般的には以下のような理由から激務だといわれています。
ここでは、弁護士が激務だといわれている下記4つの理由を解説します。
- 個人が担当する案件の対応範囲が広いから
- 複数の案件を同時並行で進めるケースが多いから
- 業務の時間における精神的負荷がかかるから
- クライアントからの突発的なタスクが生じる場合もあるから
個人が担当する案件の対応範囲が広いから
弁護士は、企業法務や刑事弁護、労働問題など1人でさまざまな法律問題を扱います。
各案件において書類の作成や交渉、裁判の準備・進行などの幅広い業務をこなすため、業務負担が大きいという点が激務といわれる理由の1つです。
また、それぞれの案件で弁護士の決定した意見は専門家の判断として扱われるため、誤りが許されません。1つ1つの案件に慎重に取り組む必要があります。
複数の案件を同時並行で進めるケースが多いから
一般的に、弁護士は1つの案件だけでなく複数の案件を同時に扱います。どの案件の業務に先に取り組むか優先順位を付けることや、移動にかかる時間などを踏まえたスケジュール管理が非常に重要です。
また、案件ごとに業務の期限やクライアントの要望が異なるため、それらを考慮しながら業務を進めることは弁護士にとって大きな負担となるでしょう。
業務の時間における精神的負荷がかかるから
弁護士の仕事は、その案件の内容によっては精神的な負担が続くことが考えられます。
特に、個人の人生や企業生命に関わるような重大案件を担当している場合、弁護士の仕事の結果がクライアントに大きな影響を与えるため、常に高い責任感を持たなければなりません。
また、裁判の準備や書類の締め切り前には、夜遅くまで業務がかかることもしばしばあるでしょう。
クライアントからの突発的なタスクが生じる場合もあるから
弁護士は、クライアントから大きな期待を持たれています。法律問題で悩みを抱えている人は弁護士に解決してもらいたいと強く望んでいるため、突発的なタスクの実施を求められる場合があるでしょう。
また、クライアントの居住地域によっては時差があるため、日本時間で夜遅い時間帯や朝早い時間帯にタスクに取り組むケースも考えられます。クライアントの期待に応えるために迅速な対応が必要となるため、弁護士の業務負担がより大きくなるでしょう。
弁護士の主な働き方の特徴
ここでは、一般的な弁護士の働き方の特徴を見ていきましょう。下記5点から解説します。
- 弁護士の主な仕事内容
- 弁護士の勤務時間・残業時間
- 弁護士の具体的な1日のスケジュール
- 弁護士の主な休日
- 弁護士の繁忙期
弁護士の主な仕事内容
弁護士の仕事は、クライアントから法律問題に関する相談を受けることから始まり、その問題解決のために以下のようなタスクに取り組む場合がほとんどです。
- メールや電話
- 打ち合わせ
- 書面作成(起案)
- 調査検討
- 裁判
クライアントの問題解決を目指す仕事であるため、メールや電話、打ち合わせなどでクライアントと頻繁にコンタクトを取ることが大切です。また、特に書面作成や裁判は、仕事内容の中でもかなり慎重に実施する必要があるため、多くの時間を要するでしょう。
弁護士の勤務時間・残業時間
弁護士の勤務時間には規則はなく、事務所や弁護士個人に裁量があるといえますが、一般的には長い傾向にあります。
以下は、高等裁判所の有無ごとに弁護士の就労時間をまとめた表です。
1週間あたりの弁護士就労時間 |
高等裁判所がある地域 |
高等裁判所がない地域 |
20時間未満 |
4.5% |
6.7% |
20〜30時間未満 |
5.7% |
5.1% |
30〜40時間未満 |
10.8% |
12.1% |
40〜50時間未満 |
31.8% |
26.7% |
50〜60時間未満 |
21.7% |
24.8% |
60〜70時間未満 |
12.1% |
12.5% |
70〜80時間未満 |
7.6% |
5.9% |
80時間以上 |
1.3% |
3.2% |
※参考:2 弁護士の就労時間(1週間の平均)丨日本弁護士連合会
※無回答あり
上記の表より、弁護士の一般的な就労時間は1週間あたり40〜50時間程度、週に5日働いているとすると、1日8〜10時間程度であるといえます。厚生労働省が公表している1日の平均就労時間である7時間40分を踏まえると、業務時間はかなり長い傾向にあります。
また、弁護士の勤務時間は不規則であり、特に訴訟期間中や重大案件を扱っている期間は通常より業務時間が長くなるでしょう。夜遅くまで事務所に残ってタスクに取り組んだり、休日も勤務したりする場合が考えられます。
※参考:労働時間制度丨厚生労働省
弁護士の具体的な1日のスケジュール
弁護士の1日のスケジュールは、朝から夜までぎっしりタスクや打ち合わせで埋まっている場合がほとんどです。
下記にスケジュール例をまとめたので、チェックしましょう。
【弁護士の1日のスケジュール例】 10:00〜11:30 出社後、クライアントと打合せ 11:30〜12:00 Web裁判 12:00〜13:00 電話連絡やメール返信 13:00〜13:45 昼食など 13:45〜14:00 クライアントへ電話 14:00〜15:00 クライアントと打合せ 15:00〜16:00 所内会議 16:00〜17:00 契約書レビューや雑多な連絡 17:00〜18:00 クライアントと打合せ 18:00〜20:00 訴状や準備書面の起案→帰宅 |
先述の通り、弁護士は同時に複数の案件を並行する場合がほとんどであるため、1日に複数のクライアントと打ち合わせをするケースが想定されます。また、電話やメールなどでクライアントと連絡を取ることや事務所内での会議、書類準備なども重要なタスクです。
1日のうちにさまざまな業務に取り組む必要があるため、スケジュールをしっかり立てて効率的に業務を進めることが求められます。
弁護士の主な休日
弁護士の休日は、通常の土日休みになるとは限りません。多くの弁護士事務所は土日を休業日としていますが、クライアントが土日しか打ち合わせの時間を設けられない場合、弁護士も土日に勤務することがあります。
土日に対応する分、平日に早く帰って土日分の休みを確保するというケースもあるため、事務所と話し合って激務の中でもしっかりと休める時間を設けることが大切です。
弁護士の繁忙期
弁護士の繁忙期は、クライアントの数によって異なります。
例えば、倒産手続きをする企業の法務を担当している場合、申立直前は特に忙しくなるでしょう。また、株主総会が多く開催される6月やクライアントの繁忙期にあわせて契約更新・各種交渉が集中する時期も忙しくなる場合があるといえます。
それ以外の時期でも、緊急度の高い案件を担当している場合には忙しくなると考えられます。
弁護士の激務を少しでも解消するなら業務効率化が重要
弁護士の業務は多岐にわたるため、激務といわれるほど多くの業務量や業務時間が必要となるケースがあります。
激務を少しでも解消するためには、業務を効率的に進めることが大切です。弁護士以外でも対応できるタスクにおいては所員にアサインしたり、依頼したタスクの進捗状況を所内全体で把握できるように可視化することで、抜け漏れなく効率的に業務を進めることが必要です。
また、一度に多くの案件を扱う弁護士にとっては、案件ごとに書類や打ち合わせ資料をまとめておくことも重要といえます。業務の効率化に繋がるだけでなく、誤って第三者にクライアントの情報を送信してしまうなどの情報漏洩も防止できるでしょう。
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弁護士の激務に関するよくある質問
ここでは、弁護士の激務に関するよくある質問に回答します。順番に見ていきましょう。
- 弁護士の忙しい時間帯はいつ?
- 弁護士に長期休暇はある?
- 弁護士業界で激務になりにくい勤務先は?
弁護士の忙しい時間帯はいつ?
一般的に、弁護士の忙しい時間帯は午前中と夕方だといわれています。
午前中は1日の業務計画を立てる時間が必要となるほか、裁判所が開いている時間帯に合わせて多くの裁判や会議が集中するケースがほとんどです。また、夕方になると日中の業務をまとめたり翌日の準備を行ったりするため、再び忙しくなると考えられます。
案件の期限が近い時期や重大案件を抱えている時期は、特に忙しさが増すでしょう。
弁護士に長期休暇はある?
弁護士にも長期休暇を取る機会はありますが、所属事務所の意向が大きく影響します。
自営の弁護士や小規模な事務所の場合、自分自身でスケジュールを調整しやすいため、必要に応じて休暇を取れるケースがあります。ただし、小規模で代わりに対応する弁護士がいないことで休暇が取りにくい場合もあるでしょう。大きな法律事務所に所属している場合、休暇時に代わりに対応を依頼することができる可能性もありますが、事務所全体のスケジュールや案件の進行状況によって休暇を取りにくい状況があるでしょう。
ただし、健康管理やワークライフバランスを考慮して計画的に長期休暇を取ることは可能です。激務の中でも、自分がしっかりと休める時間を確保しましょう。
弁護士業界で激務になりにくい勤務先は?
弁護士業界の中でも激務になりにくい勤務先として、中小規模の企業での企業内弁護士(インハウスロイヤー)が挙げられます。
企業内弁護士とは、企業や団体の従業員として企業法務を担当する弁護士のことです。近年、企業弁護士数や企業弁護士を採用する企業の数は以下の表のように増加しています。
年 |
企業内弁護士数 |
採用企業数 |
2001年 |
66人 |
39社 |
2007年 |
188人 |
104社 |
2013年 |
953人 |
508社 |
2018年 |
2,161人 |
1,031社 |
中には、企業法務の業務量が多いため20名以上の企業内弁護士を採用している会社もありますが、中小規模の企業の場合は業務量がそこまで多くはないと考えられます。そのため、中小企業の企業内弁護士であれば、激務を避けられるでしょう。
弁護士が激務と感じたら情報整理や業務フローの改善を意識しよう
この記事では、弁護士の仕事が激務といわれている理由を解説しました。
弁護士は担当する案件の種類が多く、一度に複数の案件を並行して実施するケースがほとんどです。裁判準備や書類作成だけでなく、1日に複数のクライアントと打ち合わせを進める必要があります。
弁護士の働き方を改善するには、効率的に業務を進めることが大切です。精神的負荷がかかりやすい仕事でもあるため、忙しい中でも休息を取る時間はしっかりと設けて、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
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