弁護士の人数は?年度別・男女別・都道府県別の推移を紹介
この記事では、弁護士の人数の推移について解説します。
弁護士の数は年々増加しており、特に近年はその増加率が高い傾向にあります。弁護士事務所を運営する方や弁護士として活動する方にとっては、どの地域でどのような弁護士が増加しているのか把握しておくことがポイントです。
この記事では、弁護士の人数を年度や男女、都道府県などの項目に分けて解説します。
法律事務所以外の弁護士数の推移や今後の予測も紹介するので、参考にしてください。
- 【項目別】弁護士の人数の推移
- 法律事務所以外の弁護士における人数の推移
- 今後の弁護士の人数の推移予測
- 弁護士の人数増加に伴い法律事務所の差別化が重要
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【項目別】弁護士の人数の推移
ここでは、以下5つの項目別に弁護士の人数の推移を解説します。
- 【年度別】弁護士数の推移
- 【男女別】弁護士数の推移
- 【都道府県別】弁護士数の推移
- 【法律事務所別】弁護士数の推移(法律事務所規模ランキング)
- 【諸外国】弁護士数の推移
【年度別】弁護士数の推移
日本の弁護士の数は年々増加しています。
日本弁護士連合会(日弁連)の『弁護士白書』によると、連合会の会員数は1950〜2020年の70年間で以下のように推移しています。
このグラフから、弁護士数は70年間で7倍以上増加していると読み取れるでしょう。
また、過去10年間の弁護士数の推移は以下のようになりました。弁護士数は、近年も右肩上がりに伸びていることが把握できます。
年 |
正会員総数(内女性数) |
女性割合 |
2010 |
28,789人(4,660人) |
16.2% |
2011 |
30,485人(5,115人) |
16.8% |
2012 |
32,088人(5,595人) |
17.4% |
2013 |
33,624人(5,936人) |
17.7% |
2014 |
35,045人(6,336人) |
18.1% |
2015 |
36,415人(6,618人) |
18.2% |
2016 |
37,680人(6,896人) |
18.3% |
2017 |
38,980人(7,179人) |
18.4% |
2018 |
40,066人(7,462人) |
18.6% |
2019 |
41,118人(7,717人) |
18.8% |
2020 |
42,164人(8,017人) |
19.0% |
※参考:弁護士白書丨日本弁護士連合会
【男女別】弁護士数の推移
ここでは、弁護士数の推移を男女別に解説します。
日弁連の『弁護士白書』によると、弁護士の数は男女別で以下のように推移しています。
1950年では、女性弁護士はわずか6名でした。
しかし、2000年には1,000人を超え、2020年には8,017人の女性弁護士が日弁連に登録しています。
また、弁護士の数を男女別に年齢で分けてまとめると、以下の通りです。
年代 |
男性弁護士数 |
女性弁護士数 |
女性割合 |
男女計 |
80歳以上 |
1,535人 |
100人 |
6.1% |
1,635人 |
70~79歳 |
3,422人 |
219人 |
6.0% |
3,641人 |
60~69歳 |
3,788人 |
399人 |
9.5% |
4,187人 |
50~59歳 |
3,831人 |
913人 |
19.2% |
4,744人 |
40~49歳 |
8,350人 |
2,491人 |
23.0% |
10,841人 |
30~39歳 |
10,305人 |
3,126人 |
23.3% |
13,431人 |
20~29歳 |
2,916人 |
769人 |
20.9% |
3,685人 |
合計 |
34,147人 |
8,017人 |
19.0% |
42,164人 |
※参考:弁護士白書丨日本弁護士連合会
30〜49歳の比較的若い年代では、女性弁護士が多くいることがわかります。
また、女性割合は20〜49歳の年代で20%を超えており、若い女性弁護士は今後も増えていくと予想できるでしょう。
【都道府県別】弁護士数の推移
ここでは、都道府県別に弁護士数の推移を解説します。
一都六県と主要都市における弁護士会の会員数を表にまとめた結果、以下のようになりました。
なお、東京には『東京弁護士会(東弁)』『第一東京弁護士会(一弁)』『第二東京弁護士会(二弁)』の3つがあります。
弁護士会 |
弁護士数(内女性数) |
女性比率 |
外国法事務弁護士 |
東京 |
9,248人(1,983人) |
21.4% |
93人 |
第一東京 |
6,856人(1,528人) |
22.3% |
150人 |
第二東京 |
6,617人(1,485人) |
22.4% |
213人 |
神奈川県 |
1,797人(354人) |
19.7% |
3人 |
埼玉 |
979人(178人) |
18.2% |
0人 |
千葉県 |
888人(162人) |
18.2% |
0人 |
茨城県 |
307人(47人) |
15.3% |
1人 |
栃木県 |
236人(34人) |
14.4% |
0人 |
群馬 |
328人(43人) |
13.1% |
0人 |
静岡県 |
544人(95人) |
17.5% |
1人 |
新潟県 |
288人(52人) |
18.1% |
0人 |
札幌 |
865人(136人) |
15.7% |
0人 |
仙台 |
494人(79人) |
16.0% |
0人 |
愛知県 |
2,133人(430人) |
20.2% |
4人 |
京都 |
879人(202人) |
23.0% |
1人 |
大阪 |
5,019人(976人) |
19.4% |
10人 |
兵庫県 |
1,042人(228人) |
21.9% |
3人 |
岡山 |
405人(86人) |
21.2% |
0人 |
広島 |
631人(106人) |
16.8% |
0人 |
福岡県 |
1,481人(271人) |
18.3% |
6人 |
※2024年1月現在
※参考:弁護士会別会員数丨日本弁護士連合会
弁護士の数は、東京や大阪、愛知県などの都市部に多く集中しているとわかります。
また、上記の都市の人口における弁護士の割合は以下の通りです。なお、以下の弁護士数は2024年1月時点、人口は2023年10月時点の数値のため、必ずしも割合が正確なものを指すわけではありません。
とはいえ、大きな変動はないといえるので一定の基準として認識しておきましょう。
都道府県 |
弁護士数 |
人口 |
人口に占める弁護士の割合 |
北海道 |
1,082人 |
522万4,614人 |
0.021% |
宮城県 |
494人 |
230万1,996人 |
0.021% |
茨城県 |
307人 |
286万7,009人 |
0.011% |
栃木県 |
236人 |
193万3,146人 |
0.012% |
群馬県 |
328人 |
193万9,110人 |
0.017% |
埼玉県 |
979人 |
734万4,765人 |
0.013% |
千葉県 |
888人 |
628万4,480人 |
0.014% |
東京都 |
22,451人 |
1,404万7,594人 |
0.016% |
神奈川県 |
1,797人 |
923万7,337人 |
0.019% |
新潟県 |
288人 |
220万1,272人 |
0.013% |
静岡県 |
544人 |
363万3,202人 |
0.015% |
愛知県 |
2,133人 |
754万2,415人 |
0.028% |
京都府 |
879人 |
257万8,087人 |
0.034% |
大阪府 |
5,019人 |
883万7,685人 |
0.057% |
兵庫県 |
1,042人 |
546万5,002人 |
0.019% |
岡山県 |
405人 |
188万8,432人 |
0.021% |
広島県 |
631人 |
279万9,702人 |
0.023% |
福岡県 |
1,481人 |
513万5,214人 |
0.029% |
※参考1:弁護士会別会員数丨日本弁護士連合会
※参考2:統計でみる市区町村のすがた2023丨e-Stat
弁護士数と人口を統計した時期が異なるため、正確な割合とはいえませんが、各都道府県において人口に占める弁護士の割合はかなり低いことがわかります。
割合が最も高い大阪府でも0.057%であり、0.1%にも満たない数値です。この表からも、弁護士は非常に希少な職業だといえます。
【法律事務所別】弁護士数の推移(法律事務所規模ランキング)
ここでは、法律事務所ごとに弁護士数の推移を解説します。
以下は、主要法律事務所の弁護士数とその成長率をまとめた表です。
事務所名 |
弁護士数 |
弁護士数変化 |
前年比成長率 |
663人 |
15人 |
2.31% |
|
583人 |
44人 |
8.16% |
|
567人 |
36人 |
6.78% |
|
566人 |
30人 |
5.60% |
|
539人 |
13人 |
2.47% |
|
384人 |
38人 |
10.98% |
|
236人 |
13人 |
5.83% |
|
196人 |
10人 |
5.38% |
|
180人 |
13人 |
7.78% |
|
167人 |
11人 |
7.05% |
※2023年3月時点
※参考:2023年法律事務所ランキング100&外国法事務弁護士数ランキングPresented by企業法務革新基盤丨企業法務革新基盤
上記の表より、主要な10の事務所では弁護士の数が前年よりも増加しているとわかります。
なかには40人以上増加している事務所もあり、今後も主要事務所を中心に弁護士の数は増加するでしょう。
【諸外国】弁護士数の推移
日本の弁護士数の推移を諸外国と比較します。
2014〜2021年において、日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランスの弁護士数は以下のように推移していました。
年 |
日本 |
アメリカ |
イギリス |
ドイツ |
フランス |
2014年 |
35,045人 |
1,188,537人 |
137,645人 |
162,695人 |
58,329人 |
2015年 |
36,415人 |
1,202,380人 |
136,666人 |
163,540人 |
60,329人 |
2016年 |
37,680人 |
1,219,607人 |
141,355人 |
163,513人 |
62,184人 |
2017年 |
38,980人 |
1,235,819人 |
144,414人 |
163,772人 |
64,035人 |
2018年 |
40,066人 |
1,255,146人 |
147,603人 |
165,538人 |
65,592人 |
2019年 |
41,118人 |
1,257,732人 |
153,906人 |
166,370人 |
67,081人 |
2020年 |
42,164人 |
1,328,692人 |
161,639人 |
165,901人 |
69,900人 |
2021年 |
43,206人 |
1,327,910人 |
164,704人 |
165,680人 |
70,073人 |
ドイツでは2020年と2021年の間で減少が見られましたが、それ以外の国では弁護士数が毎年増加しているとわかります。
また、この推移をグラフに表したものが下図です。
グラフを見ると、アメリカでは2019年から2020年にかけて弁護士数が大きく増加しています。
それ以外の国も、緩やかですが弁護士の数は増え続けているとわかりました。
法律事務所以外の弁護士における人数の推移
ここでは、法律事務所以外の弁護士における人数の推移を解説します。
下記2点について、それぞれ見ていきましょう。
- 企業内弁護士数の推移
- 法曹有資格者の在職状況
企業内弁護士数の推移
企業内弁護士とは、法律事務所ではなく企業や法人などに所属して勤務している弁護士のことを指し、以下の通り定義づけられています。
日本法に基づく会社、外国会社の日本支社、特殊法人、公益法人、事業組合、学校法人、国立大学法人等、国と地方自治体以外のあらゆる法人に役員又は従業員として勤務する弁護士のうち、当該法人の所在地を自身の法律事務所所在地として弁護士登録している者
日弁連によると、過去5年間の各弁護士連合会における企業内弁護士数の推移は、以下の通りです。
北海道弁連 |
東北弁連 |
関東弁連 |
中部弁連 |
近畿弁連 |
中国弁連 |
四国弁連 |
九州弁連 |
全体 |
|
2014年 |
1 |
3 |
1,017 |
28 |
114 |
8 |
4 |
4 |
1,179 |
2015年 |
3 |
5 |
1,231 |
38 |
138 |
15 |
4 |
8 |
1,442 |
2016年 |
5 |
4 |
1,460 |
46 |
156 |
22 |
3 |
11 |
1,707 |
2017年 |
5 |
5 |
1,644 |
46 |
189 |
23 |
4 |
15 |
1,931 |
2018年 |
6 |
5 |
1,835 |
53 |
216 |
26 |
3 |
17 |
2,161 |
2019年 |
8 |
6 |
2,063 |
54 |
243 |
20 |
3 |
21 |
2,418 |
2020年 |
9 |
5 |
2,236 |
65 |
263 |
22 |
4 |
25 |
2,629 |
2021年 |
9 |
6 |
2,403 |
73 |
275 |
23 |
5 |
26 |
2,820 |
2022年 |
7 |
7 |
2,521 |
68 |
296 |
27 |
7 |
32 |
2,965 |
2023年 |
7 |
6 |
2,698 |
73 |
333 |
28 |
7 |
32 |
3,184 |
※単位:人
※参考:企業内弁護士数の推移(2001年~2023年)丨日本弁護士連合会
上記の表から、企業内弁護士数は毎年増加しており、増加率も年々高くなっていることが読み取れます。
また、2023年時点の弁護士総数における企業内弁護士の割合は、以下の通りです。
北海道弁連 |
東北弁連 |
関東弁連 |
中部弁連 |
近畿弁連 |
中国弁連 |
四国弁連 |
九州弁連 |
全体 |
|
企業内弁護士数 |
7人 |
6人 |
2,698人 |
73人 |
333人 |
28人 |
7人 |
32人 |
3,184人 |
登録弁護士総数 |
1,072人 |
1,080人 |
27,722人 |
2,948人 |
7,309人 |
1,366人 |
538人 |
2,823人 |
44,858人 |
企業内弁護士率 |
0.7% |
0.6% |
9.7% |
2.5% |
4.6% |
2.0% |
1.3% |
1.1% |
7.1% |
※参考:企業内弁護士数の推移(2001年~2023年)丨日本弁護士連合会
上記の表から、企業内弁護士の割合は全体の7.1%であり、特に関東ではその割合が他の地域よりも高いことがわかります。
都市部などの企業が多く在籍する地域では、企業内弁護士が多い傾向にあるといえます。
法曹有資格者の在職状況
放送有資格者とは、地方公務員として自治体で働く弁護士のことです。
2023年1月時点では、放送有資格者の在職状況は以下のようになっています。
登用自治体 | 125 |
登用人数 | 180人 |
※2023年1月時点
※参考:関連資料・統計等丨日本弁護士連合会
上記の表から、多くの自治体が放送有資格者を登用しており、200人程度の人が勤務していることがわかります。
今後の弁護士の人数の推移予測
弁護士業界全体の推移は、今後も増加していくことが予想されます。
なぜなら、以下のグラフからも約20年間を切り取っても増加傾向にあるからです。
また、前述した企業内弁護士数の増加も理由の1つとして挙げられます。
さまざまな技術が進んでいる2024年現在では、「AIの進出によって49%の職業が奪われる(※)」とささやかれる時代になりました。そのような状況下においても、独占業務が広く好景気・不景気に左右されにくい弁護士業界の需要は十分にあるといえます。
むしろ、業務改善やデータ分析などに特化したAIの普及は、弁護士業界の業務効率化に広く貢献できます。このような背景からも、今後の弁護士数はまだまだ増加するでしょう。
※参考:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に|野村総合研究所
この記事では、弁護士に将来性について「食えない」といわれている理由を解説します。 弁護士は幅広い独占業務を担う専門性の高い職業です。 一方で、平均年収の減少やAIの進出により、弁護士の将来性について心配している人も少なくありません。 […]
弁護士の人数増加に伴い法律事務所の差別化が重要
この記事では、弁護士の人数の推移について解説しました。弁護士数は近年増加傾向にあり、特に女性弁護士の数と割合は大きく増えています。
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※参考:FAQ 他のシステムとの連携はできますか?
※参考:一般民事系機能、 企業法務系機能