公開日 2026/04/17 更新日 2026/04/17
弁護士業界の広告規制はどこまで?日弁連広告規定の内容に沿って解説
この記事では、弁護士業界の広告規制について解説します。
以前、弁護士や法律事務所の広告は一切禁止されていましたが、次第に緩和されて現在では原則自由となっています。しかし、今も制限されている広告や表示できない内容があり、広告を作成する際には注意が必要です。
以下では、日弁連広告規定の内容に沿って弁護士業界の広告規制を詳しく解説します。広告規定に違反した際の制裁も併せて解説するので、広告作成を検討している弁護士や法律事務所で従事している方は、ぜひ参考にしてください。
- 弁護士業界における広告の歴史
- 弁護士業界における広告規制はどこまでか
- 弁護士が広告規定に違反した場合の主な制裁
弁護士業界における広告の歴史
弁護士業界における広告の歴史を確認しましょう。
- 日弁連の発足当初
- 1987年における広告許容基準
- 2000年における弁護士広告の原則自由化
上記3点から1つずつ解説します。
日弁連の発足当初
昭和24年に制定された『弁護士法』に基づき、弁護士の品位保持や事務の改善進歩を目的として、同年9月に日本弁護士連合会(日弁連)が発足しました。日本では、全ての弁護士が日弁連に登録することが義務付けられています。
弁護士法 第33条では、弁護士会の会則で定めるべき16の項目が掲げられており、その1つが「弁護士道徳その他会員の綱紀保持に関する規定」です。この項目に即して、日弁連は1955年に制定した弁護士倫理で以下のように規定しています。
【弁護士倫理第8条】
弁護士は、学位または専門の外、自己の前歴その他宣伝にわたる事項を名刺、看板等に 記載し、または広告してはならない
上記の倫理規定や業界の慣習によって弁護士の広告は全面禁止となったため、当時の弁護士は一切広告活動を実施せず、口コミや紹介などによって顧客を獲得していました。
※参考1:弁護士法丨e-Gov 法令検索
1987年における広告許容基準
弁護士倫理によって広告は全面禁止されていたものの、法的サービスを求める国民から広告の一部解禁を要請する意見は多くありました。
日弁連は1987年に会規を改定し、以下のような基本的方針を新たに確立しています。
弁護士の広告は原則として禁止されるが、日弁連が定める規定に従って行う場合はこの限りでない
しかし、制定された広告規定では広告に提示できる項目が氏名や住所、事務所の名称や所在地などの12項目に限られ、利用者は弁護士や法律事務所の特徴を掴みにくいというデメリットがありました。
また、広告を載せる媒体も名刺・封筒や看板、職業別電話帳などの7種類に限定され、弁護士の広告活動はかなり狭い範囲でのみ許容されます。
2000年における弁護士広告の原則自由化
1987年に許容された広告では弁護士の情報が極端に少ないことから国民の不満が募ったため、2000年に日弁連は会則を以下のように改定し、弁護士広告は原則自由化となりました。
【日本弁護士連合会会則 第29条の2】
弁護士は、自己の業務について広告をすることができる。ただし、本会の定めに反する場合は、この限りでない。
弁護士は自身や所属事務所を自由に宣伝できるようになり、インターネットなどのメディアを活用した広告が増えて業界の競争も一層激化しています。
しかし、広告の内容に対しては『弁護士等の業務広告に関する規程』で制限されているので、広告を作成する際には注意しましょう。
弁護士業界における広告規制はどこまでか

ここでは、日本弁護士連合会の『弁護士等の業務広告に関する規程』によって、弁護士業界においてどこまで広告規制が設けられているかを解説します。
- 日弁連広告規定によって禁止される広告
- 日弁連広告規定によって表示できない広告
- 日弁連広告規定によって禁止されている勧誘行為
- 日弁連広告規定によって広告に表示する必要がある内容
『業務広告に関する指針』の内容も踏まえて、上記4点を1つずつ見ていきましょう。
※参考2:業務広告に関する指針丨日本弁護士連合会
日弁連広告規程によって禁止される広告
ここでは、日本弁護士連合会の弁護士の業務広告に関する規程で禁止されている広告を見ていきましょう。
- 事実に合致していない広告
- 誤導又は誤認のおそれのある広告
- 誇大又は過度な期待を抱かせる広告
- 困惑させ、又は過度な不安をあおる広告
- 特定の弁護士等又はこれらの事務所と比較した広告
- 法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告
- 弁護士等の品位又は信用を損なうおそれのある広告
上記7点についてそれぞれ解説します。
事実に合致していない広告
『業務広告に関する指針』では、規程第3条1号の「事実に合致していない広告」の例として、経歴などを偽った表示や実在しない人物の推薦文などの虚偽表示を挙げています。
また、実体が伴っていない団体や組織を表示することも禁止されています。現在、メンバーを募集中で組織しようとしている場合には、「〜弁護団」や「〜研究会」ではなく、「〜準備会」と表記しましょう。
誤導又は誤認のおそれのある広告
規程第3条2号の「誤導又は誤認のおそれのある広告」の例として、指針では以下3つが挙げられています。
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項目 |
例文 |
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交通事故の損害賠償事件の件数を損害賠償事件取扱件数に含めて延べ件数を表示し、あたかも損害賠償事件全般について習熟しているかのような印象を与える表現 |
「過去の損害賠償事件取扱件数○○件 航空機事故はお任せください。」 |
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他の事件を例として掲げ、その例と同じような結果をもたらすと思わせる ような表現 |
「交通事故で1億3,000万円を獲得しています。あなたも可能です。」 |
|
弁護士報酬についての曖昧かつ不正確な表現 |
「割安な報酬で事件を受けます。」 |
たとえ事実だとしても、利用者に確実に結果を得られると誤導させてしまう広告は禁止されています。また、報酬に関しても曖昧な表現や正確ではない金額を提示すると、利用者の誤認を招いて大きなトラブルに繋がるでしょう。
誇大又は過度な期待を抱かせる広告
規程第3条3号で禁止されている「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」の例は、以下の通りです。
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自身の弁護士としての能力や事務所をアピールするために、大げさな広告を作成することは禁止されています。利用者に過度な期待を抱かせる広告や誇大広告は避けましょう。
困惑させ、又は過度な不安をあおる広告
規程第3条の4号にある「困惑させ、又は過度な不安をあおる広告」には「今すぐ請求しないとあなたの過払い金は失われます。」など、利用者の不安を駆り立てて行動を急かすような広告があります。
また、乱暴な取り立ての体験記を記載して債務整理依頼を促すような広告も制限の対象です。広告を作る際には、不安をあおる文言や利用者を困惑させるような体験記などを入れないようにしましょう。
特定の弁護士等又はこれらの事務所と比較した広告
規程の第3条5号では、「特定の弁護士等又はこれらの事務所と比較した広告」が禁止されています。
該当する広告の具体例として、「〇〇事務所より豊富なスタッフ」など他の弁護士や事務所名を表示している文言が挙げられるでしょう。
また、「〇〇を宣伝文句にしている事務所とは異なり、当事務所は〇〇で優れています」など、名称が記載されていない場合でも特定の弁護士や事務所を指していると認められる場合はこれに該当します。
法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告
規程第3条6号の「法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則及び会規に違反する広告」は、大きく以下3つに分けられます。
- 法令に違反する広告
- 弁護士職務基本規程又は外国法事務弁護士職務基本規程に違反する広告
- 法律事務所等の名称等に関する規程又は外国法事務弁護士事務所等の名称等に関する規程に違反する広告
法令に違反する広告には、弁護士法や不当景品類及び不当表示防止法に違反している広告が該当します。
また、法律事務所・外国法事務弁護士事務所等の名称等に関する規定は、『弁護士等の業務広告に関する規程』と合わせて、『法律事務所等の名称等に関する規程及び外国法事務弁護士事務所等の名称等に関する規程の解釈及び運用の指針』も確認しておきましょう。
弁護士等の品位又は信用を損なうおそれのある広告
規程第3条7号で禁止されている「弁護士等の品位又は信用を損なうおそれのある広告」には、以下の2つが例として挙げられます。
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項目 |
例 |
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違法行為若しくは脱法行為を助長し、又はもみ消しを示唆する表現を含む広告 |
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奇異、低俗又は不快感を与える広告 |
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上記に該当する広告は、弁護士や法律事務所の品位を欠くものとして禁止されています。
弁護士法 第56条では品位を失うべき非行は厳しく禁止されており、非行と見なされる行為があった場合は懲戒を受けるため、十分に注意してください。
日弁連広告規程によって表示できない広告
ここでは、広告規程によって表示できない下記4点の広告を解説します。
- 訴訟の勝訴率
- 顧問先又は依頼者
- 受任中の事件
- 過去に取り扱い又は関与した事件
1つずつ見ていきましょう。
訴訟の勝訴率
『弁護士等の業務広告に関する規程』の第4条1号により、訴訟の勝訴率を表示することは禁止されています。
相談者にとっては、依頼する弁護士を決めるにあたって勝訴率を参考にしたいと考えている人もいるかもしれません。
しかし、個々の事件の状況で勝敗が決まり、過去の結果が今後の成果を保証するものではないという考えから、訴訟の勝訴率は提示してはいけません。
顧問先又は依頼者
特定の企業や団体を顧問先、または依頼者として広告で表示することは、規程の第4条2号で禁止されています。これは、弁護士と依頼者との関係は秘密保持義務に基づいており、第三者に知らしめてはならないという考えに基づいています。
しかし、顧問先や依頼者の書面での同意がある場合はこの限りではありません。いくら顧問先や依頼者がよいといっても、口頭では足りませんので注意が必要です。
受任中の事件
規程第4条3号により、現在受任している具体的な事件の内容は広告で表示できません。この「事件」には、訴訟事件に限らず訴訟外の事件や交渉案件など、弁護士が担当している事件全てが該当します。
ただし、第4条2号と同様に、依頼者による書面での同意がある場合に、表示が許可されます。こちらも同様に書面による同意が必要で、口頭では足りない点を確認しましょう。
過去に取り扱い又は関与した事件
過去に取り扱った事件や関与した事件の内容は、広告で具体的に表示できません。これは、弁護士法や外国法事務弁護士の守秘義務に違反すると見なされるためです。
しかし、以下3つの場合には表示が許可されることがあります。
- 依頼者の書面による同意がある場合
- 広く一般に知られている事件で、かつ、依頼者の利益を損なうおそれがない場合
- 依頼者が特定されない場合で、かつ、依頼者の利益を損なうおそれがない場合
※「広く一般に知られている事件」は既に判例集や新聞、雑誌などで広く公表されており、守秘義務違反となるおそれが低い事件を指す
また、事件の種類や分野(離婚や相続、交通事故など)を概括的に表示することは可能です。
日弁連広告規程によって禁止されている勧誘行為
日弁連の広告規程では、第5条で「弁護士等は、面識のない者に対し、訪問又は電話による広告をしてはならない。」と定められています。
そのため、いわゆる訪問営業や電話での営業活動は基本的に禁止されています。
ただし、以下のケースは対象外です。
- 法律事務の依頼を希望する者から請求があった場合
- 刑事事件又は少年事件について、本人以外の弁護人選任権又は付添人選任権を有する者から請求があった場合
- 公益上の必要があるとして所属弁護士会の承認を得た場合
また、面識がない者に対して承諾を得ずに電子メールによる広告をする行為や、ある事件の当事者または利害関係者に事件の依頼を勧める郵便を送る行為は禁止されています。
これらの行為は、弁護士の品位を失うべき非行と見なされ厳しい処罰を受けるおそれがあるため、注意しましょう。
日弁連広告規程によって広告に表示する必要がある内容
日弁連広告規程の第9条では、弁護士と弁護士法人に対してそれぞれ以下の項目を広告で表示するように定めています。
【弁護士】
氏名(職務上の氏名を使用している者については職務上の氏名)
所属弁護士会【弁護士法人】
名称
主たる法律事務所の名称または広告に係る従たる法律事務所の名称
所属弁護士会
これは、業務広告の責任がどこにあるかを明確にすること、問題がある広告について所属弁護士会へ通報しやすくすることを目的としています。
所属している弁護士会が不明な広告は違反広告となるので、必ず記載しましょう。
※参考:事務所のウェブサイトに、所属弁護士会の表示がないものは違反広告です。丨東京弁護士会
弁護士が広告規定に違反した場合の主な制裁
ここでは、弁護士が広告規定に違反した場合に受ける主な制裁を見ていきましょう。
- 違反行為に対する中止命令・公表措置
- 弁護士会による懲戒処分
上記2点を1つずつ解説します。
違反行為に対する中止命令・公表措置
規程に違反した広告を作成した弁護士に対して行われる措置として、中止命令と公表措置があります。中止命令は違反広告の提示注視を命令することであり、公表措置は違反した行為の内容を公表することです。
社会的信用が重要である弁護士にとって、公表措置は避けたい処罰の1つといえます。一度違反行為を公表されると信用を取り戻すことは難しく、顧客を失うことになりかねません。
弁護士会による懲戒処分
弁護士会は、所属する弁護士が広告規程に違反して懲戒に値すると判断した場合、以下の懲戒処分が可能です。
- 戒告:弁護士に反省を求めて戒める処分
- 2年以内の業務停止:弁護士業務の実施を禁止する処分
- 退去命令:弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動を禁止する処分。しかし、弁護士になる資格は保持している
- 除名:弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動を禁止する処分。3年間は弁護士になる資格も失う
除名処分を受けた場合、3年間は弁護士となる資格も失います。場合によっては、二度と弁護士として活動できないケースもあるので、違反行為には十分注意しましょう。
※参考:懲戒制度丨日本弁護士連合会
弁護士の広告に関するよくある質問
ここでは、弁護士の広告に関するよくある質問に回答します。
- SNS運用も広告規定の範囲になり得る?
- 誇大広告は具体的にどのような内容?
- 広告規定に違反したとき詐欺罪にあたるケースはある?
上記3つの質問を1つずつ見ていきましょう。
SNS運用も広告規程の範囲になり得る?
弁護士のSNS運用も、広告規程の範囲に含まれます。
日弁連の広告規程では、インターネットやその他の情報媒体も広告媒体として定義されているので、ブログやHPに限らずSNSも広告媒体に該当します。そのため、弁護士や法律事務所がSNS運用を行う際にも広告規程を遵守することが必要です。
誇大広告は具体的にどのような内容?
先述の通り、規程第3条3号によって誇大広告は禁止されており、実際に誇大広告によって懲戒処分を受けたケースもあります。
懲戒を受けた弁護士は、国際ロマンス詐欺や投資詐欺などの事件について「お任せいただければ丸っと解決いたします。」などの文言を添え、ネット広告を提示しました。
しかし、着手金を支払っても被害回復が進展していないと感じた詐欺被害者から弁護士会に相談があり、「誇大または過度な期待を抱かせる広告」などに該当すると判断されます。
このように、誇大広告などの違反広告で懲戒処分となってしまうケースもあるため、十分に注意してください。
※参考:被害回復難しい詐欺なのに弁護士「丸っと解決」…誇大広告で「懲戒処分相当」に丨讀賣新聞
広告規定に違反したとき詐欺罪にあたるケースはある?
広告規程に違反しても、必ずしも詐欺罪に該当するとは限りません。
ただし、架空の経歴や実績の掲載、報酬について虚偽の情報を表示した広告など、故意に欺き財産上の利益を得ようとしたと見なされる場合、詐欺罪に該当することがあります。
詐欺罪にあたると弁護士としての活動が厳しくなるため、表示する内容には十分気を付けましょう。
弁護士の広告規制は第三者によるダブルチェックが重要
この記事では、弁護士業界の広告規制について解説しました。
弁護士や法律事務所が作成する広告には日本弁護士連合会による規程が設けられており、規程に違反した場合には処罰を受けるおそれがあります。広告を作成する際には、内容に問題がないかしっかりとチェックすることが大切です。
弁護士の多くが規程を理解していますが、確実に違反のない広告とするためにも、第三者によるダブルチェックを実施すると確実でしょう。
また、「時間と費用をかけたのに成果に繋がらなかった」ということがないよう、どの媒体・手段で広告出稿した方が成果が上がったのか、数字を見ながら改善していく必要があります。
今後マーケティング施策管理や経営強化をしていきたい先生方は、LEALA(レアラ)のクラウドシステムがおすすめです。
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