法律事務所のIT化の背景とは?弁護士業界における今後の課題を解説
この記事では、法律事務所のIT化の背景について解説します。
社会のIT化が急速に進んでいる近年、同様にIT化を進める法律事務所も増加してきています。法律事務所を運営する方や弁護士として活動する方は、IT化によって具体的にどのような業務が効率化できるのか把握しなければなりません。
この記事では、法律事務所のIT化の実例や起こり得るトラブル、今後の課題を解説します。法律事務所のIT化を検討するうえでおすすめのクラウド業務管理システムも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 法律事務所でIT化が進む背景
- 法律事務所におけるIT化の具体例
- 法律事務所のIT化で起こり得るトラブルや今後の課題
法律事務所でIT化が進む背景
法律事務所の世界でも近年IT化が急速に進んでいます。法律事務所のIT化には、主に以下の3つの背景があります。
順番に解説していきます。
- コロナ禍によるリモートワークの推奨化
- 書面からデジタルツールへの管理の移行
- 裁判手続きなどの電子化
コロナ禍によるリモートワークの推奨化
新型コロナウイルスの流行により、世界中でリモートワークが推奨されるようになりました。多くの法律事務所にも影響があり、自宅からでも効率的に仕事ができるようにシステムを整備する必要がありました。
結果として、クライアントとのオンラインでの打ち合わせや、デジタルファイルの共有など、IT技術を活用した新しい働き方が推進されています。
書面からデジタルツールへの管理の移行
これまで多くの書類やファイルを扱ってきた法律事務所では、書類管理のデジタル化が進んでいます。
紙の書類は保管スペースを取る上に、検索や共有が不便です。一方、デジタル化されたデータは容易にアクセスでき、効率的に管理することが可能になります。これにより、事務所内の業務効率が大幅に向上しました。
裁判手続きなどの電子化
裁判所も時代に合わせて変化しており、多くの手続きが電子化されています。
令和4年5月に成立した「民事訴訟法等の一部を改正する法律」(民訴法等改正法)により、民事訴訟の手続きがデジタル化される見込みです。また、令和5年6月の改正法により、民事訴訟以外の民事裁判手続もデジタル化されています。
裁判書類の提出など、一部の手続きがオンラインで行われるようになりました。これにより、法律事務所は裁判所のIT化に対応するために、インフラを強化する必要がありました。裁判手続きを効率化できることも、法律事務所でIT化が進む背景です。
法律事務所におけるIT化の具体例
ここでは、法律事務所において具体的にどのようにIT化が行われているか解説します。IT化の具体例は、主に以下の5つです。
順番に見ていきましょう。
- 試験的なテレワークの実施
- オンライン相談の導入
- AIを利用したリーガルチェック
- 資料や書類のデータ化・一元化
- スケジュールの共有
試験的なテレワークの実施
新型コロナウイルスの流行により、多くの業界でテレワークが普及しました。しかし、法律事務所は、紙の書類でリモートできない業務の多さや個人情報の取り扱いの問題により、完全なテレワークは実施できないケースも少なくありません。
法律事務所で完全なテレワークを実現するためには、主に以下の要素が重要です。
- オンライン相談・打ち合わせ
- スケジュール管理
- 書類や資料のクラウド化
- コミュニケーションのクラウド化
可能な範囲でテレワークを試験的に実施するケースが増加しています。
文書作成やメール対応、オンラインでの打ち合わせは自宅でも行うことが可能です。担当弁護士の一部が事務所に出勤し、書類や来客の対応を行うケースも増えてきました。
オンライン相談の導入
従来、法律相談は対面で行われることが一般的でしたが、IT化によりオンラインでの相談が可能になりました。
自宅や職場から、インターネットを通じて弁護士に相談できるようになり、地理的な制約が少なくなりました。忙しいクライアントや遠方に住むクライアントにとって特に便利です。
また法律事務所にとって、手軽に相談できる環境により潜在的な相談者にアプローチしたり、対面相談よりも短時間で多くの相談に対応できるようになりました。
AIを利用したリーガルチェック
法律文書の作成やチェックには専門知識が必要ですが、AIを利用することで作業の一部を効率化できます。
AIを利用することで、契約書などの法律文書のチェックが行えるようになりました。また、時間がかかる作業が効率化され、弁護士はより本質的な業務に集中できるようになります。
さらに、AIによる分析を行うことで、人間の目で起こり得る見落としを防ぎやすくなり、サービスの品質向上にも寄与しています。
資料や書類のデータ化・一元化
IT化により、資料や書類をデータ化して一元管理できるようになりました。
これまで法律事務所では、大量の紙の書類や資料を扱ってきました。事務所で紙の書類を探そうとしても、見つけるまでに多くの時間が必要です。近年では、資料や書類をデジタル化し、電子ファイルとして管理することが増えています。
IT化により、資料の検索時間が大幅に短縮され、必要な情報にすぐにアクセスできるようになりました。また、ファイルの一元管理システムを導入することで、どこからでも資料にアクセスできるようになり、テレワークや外出先からの業務効率も向上しています。 この記事では、弁護士における書類管理の課題点について解説します。
弁護士はさまざまな書類を取り扱います。取り扱う量も多いため、目当ての書類をすぐに見つけるためには、書類管理を工夫する必要があります。しかし、書類管理において課題を感じている[…]
スケジュールの共有
IT化により、法律事務所ではオンラインでのスケジュール共有ツールが広く使われるようになりました。
法律事務所では、弁護士やスタッフ間でのスケジュール共有が非常に重要です。裁判の日程やクライアントとの会議、内部の打ち合わせなど多忙なスケジュールを効率的に管理しなければなりません。
スケジュール共有ツールの導入により、法律事務所全体で各々のスケジュールをリアルタイムに確認・更新できるため、予定の重複を避けることができます。また、スケジュールの変更があった場合にも、関係者への情報共有が迅速に行えるため、スムーズな業務運営が可能になります。
書類管理・スケジュール管理を一元化するなら「LEALA」のクラウド業務管理システム
『LEALA(レアラ)』は、数百名規模から数名規模の法律事務所まで幅広くご採用いただいている、弁護士業務を効率化する業務管理システムです。
LEALAはシステムの基盤に”Salesforce”を採用しているので、BOXやDropbox ※1、Googleカレンダー※2などのアプリと連携が可能です。
書類管理では、各案件に紐づけて必要な書類を管理することができ、就任通知や訴状、契約書などの各種定型書類も自動生成することができます。また、BOXと連携することで、LEALAの画面上でファイルの編集・追加・参照が可能となります。
スケジュール管理では、案件と紐づけて予定を登録することができるため、各案件上で登録したお打ち合わせなどの予定を活動の記録として確認することができます。また、予定に紐づけて半自動的にタイムチャージを登録することができるため、タイムチャージの登録漏れを防止することができます。
書類・スケジュール管理をはじめたとしたシステムを一元化して、中長期的かつ統合的なデジタルシフトを実現したい方は、『LEALA(レアラ)』のクラウド業務管理システムの導入をぜひご検討ください。
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法律事務所のIT化で起こり得るトラブルや今後の課題
法律事務所のIT化を進めていくうえで、起こり得るトラブルもあります。ここでは、IT化で起こり得るトラブルや今後の課題について解説していきます。
下記4つを順番に見ていきましょう。
- データ流出や個人情報漏洩などのセキュリティリスク
- 不具合による損害賠償の請求
- データ管理の煩雑化
- 事務所としての意思決定の難しさ
データ流出や個人情報漏洩などのセキュリティリスク
機密性の高いデータの流出や、個人情報漏洩などのセキュリティリスクが、IT化での課題です。
法律事務所が取り扱う情報には、クライアントの個人情報や重要な法的文書が含まれます。
IT化により情報がデジタル化されると、ハッキングやウイルス感染によるデータ流出、個人情報漏洩のリスクが高まります。
セキュリティ対策を徹底しても常に新しい課題は出現するため、セキュリティリスクを考慮してIT化を進める必要があります。
不具合による損害賠償の請求
ITシステムの導入や運用において、システムの不具合が発生することがあります。
例えば、期限内に書類が提出できなかったり、重要な情報が誤って削除されたりすることが考えられます。
不具合が原因でインシデントが生じた場合、法律事務所は損害賠償の請求を受けるリスクに直面します。また、重要な期限の管理やクライアントへの情報提供に影響を与えるような不具合は、法律事務所としての信頼に大きなダメージを与えかねません。
これらの課題を払拭するためには、法律事務所としてのITサービスの稼働率や冗長性の確保が重要なポイントだといえます。
また、基幹システムが稼働できないと不都合があるため、基幹システムを選定する際には、「一定期間のうち何パーセント使用できるか」といった稼働率がどの程度か、サービスに冗長性の確保がされているかなども重要なポイントです。
データ管理の煩雑化
IT化によりデータの量が増えると、適切に管理することが非常に難しくなります。デジタル化された文書やメール、契約書などは適切に分類・整理され、容易にアクセスできるようにしておくことが理想です。
しかし、データ管理の体制が整っていないと、情報の検索に時間がかかったり、重要な情報が見つからなかったりするおそれがあります。
また、異なるシステム間での互換性の問題や、古いデータの保存の問題などは、データ管理が煩雑になり業務効率を低下させる原因となります。
導入したものの一部の弁護士や事務局が使いこなせなかったり、適切な管理方法で運用できなかったりすることも、データ管理の課題です。
データ管理システムの導入と適切な運用は、IT化を成功させるうえで重要な課題といえるでしょう。
事務所としての意思決定の難しさ
事務所として、IT化の意思決定を判断することが困難である点も、課題の1つです。
法律事務所のIT化を進める過程で、どの技術を導入するか、どのように業務プロセスをデジタル化するかという意思決定は非常に重要です。
大規模事務所は、ITシステムの導入に向けて所内の意見統一や、意思形成に時間がかかる傾向にあります。特に、従来の運用方法による現状維持を好むメンバーと、最新技術の導入を推進したいメンバーの間で意見が分かれると、スムーズなIT化の進行が妨げられる可能性があるでしょう。
これに対し、小規模事務所では、ITに精通したメンバーの確保が難しく、どのようにシステムを導入していけば良いのかわからず導入が進みにくい場合もあります。
事務所としての意思決定の難しさやシステム導入から定着までのハードルの高さが、法律事務所のIT化における課題です。
法律事務所のIT化を検討するならクラウド業務管理システム
IT化を進めることでいくつかの課題は生じえますが、多くの法律事務所業務を効率化することができるでしょう。
法律事務所のIT化を検討するなら、まずはクラウド業務管理システムの導入をおすすめします。クラウド業務管理システムは、法律事務所で発生するさまざまな業務をサポートし、事件管理やタスク管理ができるクラウドサービスです。
クラウド業務管理システムには、以下のメリットがあります。
- インターネット環境とPC、スマートフォンがあれば情報にアクセスできる
- 事務所外での打ち合わせで重い資料を持ち運ぶ必要がない
- 案件の進捗状況や日程調整などを所内全体で把握・管理できる
- 過去の案件情報を検索したり、それを基に文書を作成するなどナレッジを蓄積できる
- 案件毎に管理できるため、欲しい情報に素早くアクセスできる
クラウド業務管理システムの導入によって、法律事務所の業務が効率化できるだけではなく、クライアントの満足度向上にも貢献します。
どのクラウド業務管理システムを導入するかご検討なされている先生方には、弁護士・法律事務所向けクラウド業務管理システム『LEALA(レアラ)』がおすすめです。
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また、法制度にも順次対応しており、インボイス制度の要件を満たした請求書の発行や、電子帳簿保存法の要件も満たしております。
システムの一元化や中長期的かつ統合的なデジタルシフトを実現したい方は、『LEALA(レアラ)』のクラウド業務管理システムの導入をぜひご検討ください。
※参考:インボイス制度の要件を満たした請求書発行機能をリリース。
※参考:企業法務系機能・一般民事系機能
法律事務所のIT化に備えて業務効率化を図ろう
法律事務所におけるIT化は、業務を今後行っていくうえで欠かせない要素となっています。
リモートワークの普及、オンライン相談の導入、AIによるリーガルチェックの活用など、テクノロジーを駆使した効率的な業務プロセスが新たな標準となりつつあるといえます。
しかし、IT化が進展するにつれて、情報漏洩のリスクや点在した情報管理の煩雑さなどの新たな課題も生じています。
クラウド業務管理システムの導入は、上記の課題に対する有効な解決策の1つです。
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※参考:FAQ データはどこに保存されますか?