公開日 2026/08/13 更新日 2026/08/13
企業の法律事務所の探し方—「検索」から「AIに質問」へ
株式会社レアラのマーケティング・シニアマネージャーです。「企業法務系法律事務所 ウェブマーケティング実態調査 2026」を行いました。本コラムは6回シリーズで、調査の結果をわかりやすく説明していきます。自所のウェブサイトの運用に力を入れている法律事務所にも、これまでじっくり考えたことがなかった法律事務所にも、いろんな気づきが得られるシリーズになっていますので、ぜひ参考にしてください。
- 第1回 企業の法律事務所の探し方—「検索」から「AIに質問」へ ←今回はここ
- 第2回 5つのAIの回答とは—推薦された法律事務所の共通点
- 第3回 企業の担当者が注目する情報—法律事務所サイトの掲載状況
- 第4回 企業法務系法律事務所サイトの実態—数字でみる全体像
- 第5回 AIに推薦される法律事務所—サイト情報との連動を実測
- 第6回 もし法律事務所サイトを見直すなら—36項目の4つのSTEP
第1回の今回は、企業の担当者の法律事務所の探し方の変化から、調査に至った背景について紹介します。
- 企業の担当者の法律事務所の探し方
- 企業法務系の法律事務所のウェブサイトのコンテンツの傾向
法律事務所の探し方は「検索」から「AIに質問」の流れへ
企業法務系の法律事務所の場合、相談や依頼は、紹介から始まることも多いのではないでしょうか。顧問先からの紹介、弁護士同士のつながり、経営者同士の口コミ。信頼がなにより大切な仕事であるため、紹介が多いこともうなずけます。
一方で、相談する側の行動は、この10年ほどで少しずつ変わってきました。ここでは、相談する側の行動の変化と、それが法律事務所に与える影響について説明します。
- 相談する側の行動の変化とは
- 生成AIの登場で変わったこと
一つずつ見ていきましょう。
相談する側の行動の変化とは
普段の生活の中で、何かを検討するときや探すときは、まずネットで検索することが当たり前になっています。これは普段の生活の中だけに限りません。企業の担当者が外部委託先などを探すときも同じです。もちろん、法律事務所を探すときも例外ではありません。たとえば法務や総務の担当者が新しい相談先として法律事務所を探す場合、ほとんどの担当者は真っ先に検索をするのではないでしょうか。
そして今、そこにもうひとつの変化が加わりつつあります。生成AIに聞く、という行動です。
生成AIの登場で変わったこと
生成AIに聞くという行動は、当然企業の担当者にも当てはまることといえるでしょう。法的課題が発生したとき、「○○系に強い法律事務所はどこですか」「○○業界に強い顧問弁護士を探しています。どんなところがありますか」などと生成AIに質問すれば、すぐに回答が得られます。いくつものサイトを自分で確認する必要がある検索より、はるかに簡単に情報を得ることができるといえるでしょう。
これにより何が変わったのでしょうか。生成AIは、質問すれば法律事務所名をあげ、さらに、なぜその法律事務所をとり上げたのかの説明までしてくれます。つまり、企業の担当者は、検索より手間が省けること以上に、生成AIの登場で、自社の希望にあった法律事務所を簡単に知ることができるようになったということです。
法律事務所側から見れば、企業の担当者に自所のことを知ってもらう機会の一つとして、生成AIに推薦されることを意識する必要が出てきたといえるのではないでしょうか。
調査から見るAIが推薦する事務所とは
生成AIにより企業が自所を知る可能性があるとわかれば、次に、「実際AIはどんな事務所を推薦しているのか」を知りたいと思うのが当然のことでしょう。筆者もそれを知りたくて、調査を行いました。ここでは、調査の概要と、導き出された興味深い結果について紹介します。
- 調査の概要
- 導き出された興味深い結果とは
調査の概要
調査は、AIが情報収集をする対象である法律事務所のウェブサイトの現状把握から始めました。今回の対象は企業法務系の法律事務所です。一般民事系と企業法務系は、顧客が個人か法人かという違いからウェブサイトに求められることが異なるため、一緒に調査をすることができなかったというのが理由です(個人か法人かの違いによるオンライン施策で意識する点については「法律事務所のオンライン集客で意識したい2つのポイント」参照)。今回は企業法務系の法律事務所を対象にしていますが、今後、一般民事系事務所についても調査する予定です。
興味深い結果にたどり着いた調査は、以下の流れで行いました。
STEP1:
企業法務専門、またはメインの法律事務所70事務所について、一般にBtoBサイトに求められることを基に、36項目チェックリスト(最高72点)で採点。
STEP2:
5つの生成AI(ChatGPT・Claude・Perplexity・Copilot・Gemini)に、企業の担当者が実際にしそうな6つの質問を投げかけ、回答を収集・記録。
STEP3:
STEP1の結果とSTEP2の結果から、AIに推薦される企業法務系の法律事務所のウェブサイトの特徴を見つける。
AIへの質問は、「顧問弁護士」「M&A」「スタートアップ支援」「労務問題」「IPO」「契約書レビュー」について行いました。
導き出された興味深い結果とは
70事務所のうち、いずれかのAIが名前を挙げたのは10事務所でした。名前が挙がった10事務所と挙がらなかった60事務所について、STEP1の結果を比較した結果が下図です。

この比較から、AIから名前が挙がった法律事務所の共通点が見えてきました。
1.強みや得意分野をわかりやすく書いている
2.実績や解決事例を掲載している
3.コラムなどの継続的な情報発信をしている
興味深いことに、36項目の中にはトップページのデザインに対するものもありましたが、比較を見るとサイトのデザインよりAIはウェブサイトに何が掲載されているかを見ていることがわかりました。もちろん、人が見るときにデザインは重要です。一方で、AIのことを考えると、デザインだけに注力せずに、AIが推薦するために必要としている情報についても目を向けていくことが必要だといえるでしょう。
今後のウェブサイト運用はAIを意識する
法律事務所を探す側がAIを活用するようになったことで、法律事務所もウェブサイト運用にAIを意識することが求められています。今回は、AIで名前が挙がった事務所は何を載せているかという傾向について紹介しました。次回は、5つのAIの回答とあわせて、推薦された法律事務所の共通点について詳しく紹介します。
この調査の結果はダウンロードが可能です。ご興味がありましたら、ぜひこちらからダウンロードしてください。また、調査結果の理解を深めていただくために、2026年9月16日(水)18:00より「AIはどの法律事務所を推薦するのか—実測データが示す“選ばれるサイト”の共通点」と題したセミナーを開催します。AIからの回答では、調査対象事務所だけでなく大規模事務所の名も挙げられています。質問によって挙げられる事務所がどう異なるかなどセミナーならではの情報もありますので、ぜひご参加をご検討ください。セミナー情報及び申し込みはこちらからご覧いただけます。
LEALA(レアラ)は幅広い法律事務所業務に対応した生産性と依頼者満足度の向上を実現する案件管理システムです。マーケティングにも活用できます。各ポータルサイトや各種広告施策からの流入・受任・売上比率をリアルタイムに可視化し、マーケティングの結果を定量データとして分析、効果的な施策を導き出すことが可能です。他の法律事務所の案件管理の事例だけでなく、マーケティングとしてどのように活用しているのかについてご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。
資料一覧からダウンロードいただくことも可能です。
鈴木陽子
株式会社レアラ マーケティング シニアマネージャー
多業界において長年BtoB・BtoCマーケティングに従事
市場調査会社を含め調査業務の経験多数。本調査の設計・実査・分析を担当