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公開日 2026/07/21  更新日 2026/07/22

「DXだから」でシステムを導入した法律事務所が失敗するただ一つの理由

「DXだから」でシステムを導入した法律事務所が失敗するただ一つの理由

 

株式会社レアラのマーケティング・シニアマネージャーです。今回からレアラのセールス・シニアマネージャーにインタビューした「法律事務所がシステム導入を成功させるためにおさえておきたいこと」を7回シリーズで紹介していきます。LEALAの営業でお客様と直接対応しているからこそ、伝えられる知見満載になっていますので、ぜひ参考にしてください。

第1回の今回は、システムを導入する理由が「DXが流行っているから」「DXの波に乗らないと」という「DXありき」になっている法律事務所は、システムを導入してもうまくいかない傾向が強いといえます。それはなぜかについて、説明していきます。

そこで、本シリーズでは、7回にわたって法律事務所の経営に役立つマーケティングの考え方を紹介していきます。

 

  • 第1回 「DXだから」でシステムを導入した法律事務所が失敗するただ一つの理由 今回はここ
  • 第2回 一般民事系の法律事務所がシステム導入を検討し始める“共通点”とは
  • 第3回 企業法務系の法律事務所が「システムに頼りたい」と感じる理由とは
  • 第4回 大規模法律事務所がシステムに求めるものはなぜ違うのか
  • 第5回 法律事務所がシステム導入前に整理しておきたい5つのこと
  • 第6回 システム導入がうまくいく法律事務所に共通する3つのこと
  • 第7回 システム導入がうまくいく法律事務所は、導入前に何をしているのか

 

2018年ころからDX推進の流れが本格的になってきました。この流れを受けて多くの法律事務所がDX推進、デジタル化を意識し始めたのではないでしょうか。しかし、なぜデジタル化しなくてはいけないのか、DXを推進することでどのようなメリットがあるのかなど、深く考えてシステム導入を検討している法律事務所ばかりではないかもしれません。ここでは、「周囲がDX推進という流れ」になっているからという理由でデジタル化、システム導入に踏み切って、うまくいかなかった理由について紹介します。

 

  • 失敗する傾向が高いシステムの選択の理由
  • システムを導入する意味

 

失敗する理由はただ一つ「システムを導入する意味を深く考えていない」

システムを導入したけれど、効果を感じるどころか却って手間が増えた、浸透せずに結局これまでのやり方に戻してしまったなど、「失敗だった」と感じている法律事務所があるかもしれません。詳細に考えればいろいろとあるかもしれませんが、失敗した根本的理由はただ一つ「システムを導入する意味を深く考えずに導入してしまった」ということです。

システムを導入するには、手間や費用がかかります。そのため、意味も考えずにシステムを導入するわけがないと思われる人も多いかもしれません。しかし、システムを導入する際、以下のような考えが頭をよぎったりしなかったでしょうか。

  • システムを導入することが優先だから、とりあえず安いものを選択する
  • まずは、この業務だけ効率化できればいいから、その機能のみを導入する
  • 効率化できると謳っているシステムだから選択する

 

もし、心当たりがあれば、それは「導入する意味を深く考えてない」といえるでしょう。
なぜそういえるのか、それぞれについて説明します。

 

システムを導入することが優先だから、とりあえず安いものを選択する

システムの導入費用、運用費用は法律事務所が負担するものです。そのため、少ない負担で導入できるシステムを選択すること自体は別に悪いことではありません。問題なのは、「価格だけ」で決めることにあります。

価格が安い、高いにかかわらず、それぞれのシステムには特徴があります。その特徴を確認せず、最低限の機能はどのシステムにもきっとついているだろうと考え、自所は最低限の機能を使えれば十分。だから安い価格のシステムでいいという理由でシステムを選定する。そして、自所はDXを推進していると満足してしまう、これが失敗につながります。

どのシステムでも搭載されているという機能はもちろんあるでしょう。しかし、たとえ同じ機能であっても、システムによってUI/UXといった使い勝手に違いがあります。また、法律事務所によって求める機能が異なるため、自所で勝手に最低限の機能は入っていると思っていても、その「最低限の機能」に自所に必要な機能は入っていないかもしれません。

自所がどのような機能を求め、それに応えてくれるものなのかの確認を十分に行わずに、価格だけで選定する、これはシステム導入の意味を深く考えた結果とはいえないのです。

 

まずは、この業務だけ効率化できればいいから、その機能のみを導入する

デジタルによる効率化を考えた時に、真っ先に思いついた業務、または自所でよく話題にあがっていた業務を効率化できるシステムを選択する。これは目的をもってシステムを導入しているので、正しいシステム選択、導入であるといえるでしょう。ただ注意したいのは、この業務だけを効率化できればいいシステム、ツールを選択してしまうことです。

例えば、請求書の発行業務を効率化したい、企業法務の事務所ではタイムチャージの入力を効率化したいという、手間を減らしたいとずっと思っていた業務、作業があったとします。他の業務は何とかなっている、またはとりあえずこの業務、作業だけ何とかなればいいという考えから、それだけができるシステム、ツールを導入したとしましょう。これでシステム導入が成功したといえるのでしょうか。

実際、お客様からこの機能だけが欲しいという要望をいただくことがあります。しかし、お勧めはしていません。その理由は2つあります。

1つは、一つできると次がやりたくなるという人の特性があります。現時点で一番大変だと思っていることが、請求書発行業務だったり、タイムチャージの入力であったとしても、それができるようになると、他にも大変だと感じていたことについても効率化できないかと考えるようになります。その時、1つの機能に特化したシステムやツールを使っていると、新たに効率化したい業務のためのシステム、ツールを探さないといけなくなり、費用や手間がかかることになります。

2つめは、法律事務所の各業務は独立したものではなく、つながっているということです。請求書の発行業務が効率できるシステムを導入したとしても、請求書のもととなる顧客リストが別のシステムで管理されていたら、顧客管理システムからデータをアウトプットして、請求書発行システムにインプットするという作業が必要になるなど、減らせる手間は想定していたより少ないかもしれません。タイムチャージにおいても登録が簡単にできても、それを集計するシステムが別のものであれば、登録したデータを集計用システムに移さなければならず、結局手間が減ったとはいえない状況になる場合もあります。

このように現時点のことだけ、一つの業務のことだけを考えただけのシステム導入は結果的に手間を減らすことにつながらず、システムを導入する意味を考えて導入したとはいえないのです。

 

効率化できると謳っているシステムだから選択する

効率化できると謳っているシステムだから安心して選択する。これも間違いとはいえないでしょう。効率化できると謳っているシステムは、業務を効率化してくれるはずだからです。ただ、そのシステムが効率化できると謳っている業務が、自所が効率化したい業務と一致していることを確認をしたうえで選択したかどうかが大切です。法律事務所によって抱えている課題は異なります。課題によって、選択の候補として考えるシステムは異なってきます。また謳っている業務以外に効率化できる機能がついていたとしても、謳い文句だけで判断、導入したシステムでは、その機能があることに気がつかない、または十分に機能を使いこなせていない可能性もあるでしょう。

また、システムが変わるとデータの登録の仕方などやり方が変わります。機能や使い方の確認をしっかりとせず、また事務所内での意思統一なくシステムを選択、導入すると、慣れていない新しい登録方法を面倒に感じ、多くの所員がシステムを活用せず元のやり方に戻ってしまう可能性もあります。これもシステム導入の意味を考えずに導入した結果であるといえるでしょう。

 

システム導入の意味とは

システムを導入する意味を深く考えていないから失敗する、では、そもそもシステム導入の意味とは何なのでしょうか。システムを導入すると何ができるのかを考えるとシステム導入の意味が見えてくるかもしれません。

システム導入により実現できる主なものは以下の3つといえるでしょう。

  • 業務効率化のための課題を解決する
  • 業務フローを統一できる
  • 事務所経営に役立てる

 

一つ一つみていきましょう。

 

業務効率化のための課題を解決する

手間のかかっていた作業を削減し、本来の業務に集中したい。これは弁護士でも事務局でも思うことでしょう。このような課題に対して、手間のかかっているのはなぜかなど要因を特定し、その要因を排除できるシステムを導入することで、業務の効率化を実現できます。

この業務を効率化したいから導入するというだけでは、システム導入に成功しないのは、課題だけを見ていて要因まで見ていないからといえるかもしれません。例えば、「クラウド化によって在宅ワークを可能にしたい」と考えるならば、在宅ワークができるシステムを探す前に、なぜ現時点ではそれができないかの要因・情報を整理する必要があります。そして、いつ実現する必要があるのか、実現しないとどうなってしまうのかまで整理するとシステム導入の効果が得やすいでしょう。逆に、いつまでにしたいと決めていない、究極には実現できなくても別に構わないと思っているような場合にはシステムを導入してもうまくいかないことが多いといえるのです。

請求書発行業務を例にしてもう少し詳しくみていきましょう。請求書発行が手間だから簡単に発行できるツール、システムを探す、これは確かに課題解決に向けた行動であり、システムを探す理由にはなります。しかし、要因まで考えないと、ツールを入れても他の手間は変わらないということになりかねません。
例えば、請求書発行の手間の要因が、インプットしたデータを整理しなおさないと請求書が発行できないことだったとします。この業務だけ考えれば、データを整理しなくても請求書が発行できれば課題解決かもしれません。しかし、これはデータをインプットすることが前提になっています。ツールが変われば求められるインプット用のフォーマットが異なるかもしれません。それにより、これまでインプットできたデータが、ツールを入れることでインプットの際にフォーマットに合わせた調整が必要になってくるかもしれません。もし、「インプット」という手間自体をなくせたら、アウトプットしてインプットするという手間が省けます。業務はつながっているため、一部の課題の解決に注目しても、その解決により他の課題が発生する可能性があることを考える必要があります。

課題の要因を深堀りしていくことで、つながっている他の作業への影響を考えていくと、どのようなシステムを選ぶべきかが見えてきます。業務の効率化を実現するには、課題だけでなく、要因もしっかり見ていくこと、これがシステムを導入する意味となります。

 

業務フローを統一できる

独自にフォーマットを変更できるエクセルなどと異なり、システムにはシステムのフォーマットが存在します。所員全員が同じシステムを利用することで、バラバラのフォーマットが統一されることになります。業務フローも同様に同じシステムを使うため、フローも統一されます。これにより、データの登録方法がバラバラで、請求書発行などの際に、各弁護士に確認を取らなければなかった事務局の手間がなくなる、フローが同じになることでそれぞれの業務状況がわかりやすく、案件の進捗状況や進まない要因が発見しやすくなるなど、効果が高いといえます。

一方、フォーマットが統一される、業務フローが統一されるということは、裏を返せば、これまで独自でやっていた方法を変えなくてはならない所員も出てくるということです。それが嫌で、システムを導入しても独自のやり方をし続ける所員がいるとしたら、システム導入による効果はあまり期待できないでしょう。つまり、システムを導入するということは、事務所内での業務フローを統一すること、そしてすべての所員がそれに同意して実行することではじめて効果が得られるということです。

慣れ親しんだ自分のやり方を変更することに抵抗する所員は必ずいます。システムを導入し成功させるためには、その効果を所員全員が納得し、業務フローの統一ができること、これがシステムを導入して効果を得るため必要な、システム導入の意味になります。

 

事務所経営に役立てる

情報が一元化されると、売上や各所員の活動成果など経営に役立つ情報も把握できるようになります。ダッシュボードで事務所全体や所員ごとの売上推移を見る、またシステムによっては経由ごとの問い合わせ数や受任した結果などを見ることもできます。それらの情報を把握、分析結果を知ることは、今後の事務所の経営方針などを決めていくことに役立てられるでしょう。

システムを導入するということは、事務所内の業務の効率だけではなく、経営的判断の参考情報も得られるということです。つまり、業務課題の解決だけに焦点を当てているだけでは、システム導入の恩恵を十分に得られるとはいえないことになります。業務課題の解決はもちろん大切ですが、システムを導入することで経営にも役立てるという意識をしっかりと持っていること、それがシステムを導入する意味といえるでしょう。

 

システムを導入する意味をしっかりと考え、失敗を回避する

システム導入には手間と費用が多分に必要です。だからこそ、自所にとってシステムを導入する意味は何なのかをしっかりと考え、なぜシステムを導入するかどうかを明らかにしたうえで、どのシステムを選択するかの決断をしましょう。そうすれば、手間や費用をかけてシステムを導入したのに、結局効果が得られず、手間がさらに増える結果になったという、失敗は避けられるでしょう。

次回からは3回にわたり、業務分野別に具体的な導入のきっかけについて紹介します。自所の導入したい理由を改めて見直し、整理するためにご活用ください。

 

LEALA(レアラ)は法律事務所・弁護士の成果を最大化する案件管理システムです。顧客管理・案件管理をはじめ、タイムチャージ管理や請求管理、スケジュール管理に書類管理、経営分析まで、幅広い弁護士業務、法律事務所の事務局業務を総合的に支援します。

法律事務所の業務を理解して開発されたシステムであり、これまで多くの法律事務所への支援を通じて得られた経験をもとに、システムを導入する意味を貴所と一緒に考えていくことも可能です。LEALAにご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。資料をご覧になりたい方はこちらです。

 

著者情報

鈴木陽子
株式会社レアラ マーケティング シニアマネージャー
多業界において長年BtoB・BtoCマーケティングに従事

監修/協力

金 大翔
株式会社レアラ セールス シニアマネージャー
複数社で営業・事業開発に従事後、コンサルティング業務を経てレアラに参画

 

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